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茶の本 (岩波文庫)
発売日:1961-01 |
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茶の本 (岩波文庫)のレビュー・感想
日本人の美意識の源泉を捉えた名著
新渡戸稲造の『武士道』が日本人の倫理意識の源泉の一を描いたものとすれば、本書は日本人の美意識の源泉の一を描いたものと云える。その意味で、両書は相揃って「半双の二曲物屏風」を構成する近代日本が生んだ重要著作であると考える。
本書を一読して、(1)茶道が建築や庭園、工芸、陶器、生花など今日に伝わる日本文化の母胎であったこと(91〜93頁)、(2)清潔なること必ずしも美ならざること(60〜61頁...
本質的な芸術論
岡倉天心(覚三)の生涯の仕事の半分は、アジアの芸術に見向きもしない西洋人に対し異議を申し立て、東洋的美意識の何たるかを懇切丁寧に解説することに捧げられた。だから天心の主著である『東洋の理想』、『日本の目覚め』、そして『茶の本』はすべて英語で書かれ、欧米で出版されたのである。
そしてもう半分の仕事は、文明開化とともに芸術の心得を失ってしまった明治の日本に、真の美意識を復興することであっ...
茶の本ではない
まあ、日本を代表する文化の一つとして「茶」という言葉を使ったのだろう。
日本がヨーロッパ列強に肩を並べるために、日本の文化を紹介する。
そのためのパンフレットみたいなものである。写真はないが
しかし、話が行ったり来たりでこのまま英文で訳されても、外国人には理解不能だろう。
この書き方からすると、あたかも大中華圏に影響を受けた周辺国家のような
イメージを与えかねないだろう...
生の術
「死の術」である「サムライの掟(武士道)」に対するものとして、「茶道」を「生の術」として捉えており、「道教」や「禅道」よりの影響を指摘しつつ、その「相対性」に着目しているのは、西洋の「絶対性」を意識してのことだろう。特に「禅道」と「茶道」のつながりについて詳細に述べられており、両者に共通するものとして「素朴・簡素」「純粋主義」「卑俗からの自由」「審美主義」などの言葉が用いられている辺りは、西...
タイトルに惑わされないように
「茶の本」というタイトルは、とくに若者にとって魅力的なものではない。かく言う私も高校時代に今は亡き教師から熱弁をふるわれたが、このタイトルではどうもピンと来なかったという記憶がある。
本書『茶の本』は、茶の本ではない。欧米人に日本文化を理解させるためには、まず彼らの気を惹かねばならない、そのためにとられた戦略からこのタイトルとなったと思われる。これは決して茶の本ではないのである。
本...

